会社員時代に教えてもらったこと
寫眞 岩城屋を開業する前は十数年、市内の写真館にてカメラマンとして勤めていました。
21歳の時、写真のこともカメラのことも社会のことも知らない状態で入社しました。
そんな状態だったので、本当に沢山のことをそこで勉強しました。
撮影や営業に関してのことはもちろんですが、
ここに書きたいのはそれ以外の「人」の部分、
とりわけ、入社当時、社長(のちに会長)と専務だったご夫婦から学んだことについてです。
思い返すと、厳しさの中にいつでも人情味とユーモアがあふれるお二人でした。
まだ入社してすぐの頃、
ご夫婦二人が参加している式典の撮影中に、
ポジション取りを間違えていた自分の腕を会長が引っ張り、
「こっちから撮れ!」と叱り、
その後には専務が
「岩城君、ちょっと来てみ。これ美味しいから休憩して食べてみっせ」と席に呼んでくれたことがあったり、
普段からよく社員にお土産やお裾分けも沢山分けてくれたのですが、
「岩城くんは若いから」
「奥さんと食べな」
「子供も生まれたから」
と言って多めに持たせてくださったりしました。
送迎中の車の中でも、家族のことや子供のことなどを気にかけて話してくれることもよくありました。
店を閉めて帰る時に、
内線で会社を出ることを当時の社長に伝えると
「戸締りの確認は指差し確認してってな、右手じゃなくて左手でな」
と言ってたことも鮮明に覚えています。笑
そんなご夫婦は、いろんなものに携わられていて、商店街や商工会をはじめ、街の多くの人にも慕われていました。
二人は旅行好きで、スーツも和服も着こなし、佇まいもおしゃれなことで有名でした。
独特なオーラと雰囲気があったご夫婦です。
お店に出てきては、お客様にも積極的に声をかけ、写真やカメラのアドバイスをしたり、
世間話をしたり、
いつもお客様の気持ちを汲みとるように接していました。
それに対し、
人見知りだった自分はいつも声が小さくて、お客様への挨拶、接客態度について注意されることもしばしば。笑
お辞儀の仕方も、言葉の使い方も教わりました。
当時は正直「めんどくさい」という気持ちがあったことは否めませんが、
(20前半なんてそんなもん、、、ですよね?)
年月が過ぎるたびに、その大切さを身に染みて感じています。
会社を辞めて独立する際も、
いろいろ思ところはあったはずですが、決して悪くは言わず送り出してくれました。
昨年の夏頃に二人目の子供が産まれることについて喜びと不安を伝えた時も、専務は「大丈夫」と色々話してくれたのですが、
そのあとの岩城屋の流れを見ていると「専務が言っていたのはこういうことかも」と思うことがいくつかあります。
独立して写真館を経営できているのは、当たり前ですがその写真館で培ったものがあるからです。
そこでお客様に対する言葉遣い、接し方、誠実でいることの大切さを学べたことは、今も本当に助けになっています。
ある意味、写真の技術以上に重要と思える部分。
もしこれらの経験がなかったら、今のようなスタイルにはなれていなかったはずです。
あの経験のおかげで、
いい写真を撮るため、いい写真と思ってもらうため、いいサービス、いい写真館と思ってもらうためにも、
“人情”が必要なんだと思えるし、お客様とのやりとりや、撮影プランにもそれを反映するように心がけています。
突然の訃報からの数日、思い出したのは人情味の溢れる温かい部分ばかりでした。
大々的に出すものでもないし、きっと他に表に出せるところもないだろうと思うので、
感謝と敬意を込めてここに残しておきます。